肌の酸化予防

近年、美容に有効な成分として「NMN」(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が注目を集めています。

NMNは老化と深く関わりのあるサーチュイン遺伝子を活性化させる働きがあり、抗酸化作用やエネルギー代謝の向上などの効果が期待できます。NMNはサプリや点滴などで摂取する方法が一般的ですが、近年ではNMNの成分を配合した美容液や化粧品なども多く販売されていますね。

そこで今回は、美容やアンチエイジングに効果的な「NMN」について簡単に解説した後、肌への効果や、化粧品や美容液を使って摂取する方法や本当に効果があるのか?について解説していきます。

「NMN」とは?

NMNとは「ニコチンアミドモノヌクレオチド」のことで、ビタミンB群に分類される成分の一つです。NMNが体内で吸収される際、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という成分に変換され、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる作用を持っています。

サーチュイン遺伝子が活性化することで美容効果が期待できますが、NAD+をそのまま摂取しても体内で吸収することはできません。

そのためNAD+を体内で増やすためにはNMNを摂取することが重要になります。NMNはブロッコリーや枝豆、アボカドなどの食品の中にも含まれている栄養素ですが、含有量がとても少ないため、効率よく摂取するためにサプリメントや点滴などが推奨されています。

「NMN」が肌にもたらす効果

特に女性の場合、加齢とともに肌のたるみやシミ、シワなどが気になってくる方も多いと思います。NMNを摂取して体内でNAD+の生成を促すことで、肌への美容効果が期待できます。

肌の酸化予防

NMNによってサーチュイン遺伝子が活性化することで、「肌の酸化」を予防することができます。

酸化とは、物質と酸素が結びつくことによって起こる化学反応です。金属が酸素と結びついて錆びたり、リンゴに含まれるポリフェノールが酸素に反応して茶色く変色したりするといったものが身近な例です。

人間の体内でも酸化は起きており、人間が呼吸によって取り込んだ酸素は細胞内のミトコンドリアという細胞小器官でエネルギーを生成する際に使われます。これも酸化反応の一つですが、紫外線やストレスなどの要因が加わると、酸化の際に「活性酸素」という物質が生じることがあります。

活性酸素は体内の鉄分と結びつくことによってさまざまな不調を引き起こしますが、特に肌のシミやシワ、たるみなどの原因です。

しかし、NMNを摂取することによってサーチュイン遺伝子が活性化すると、肌の酸化を抑制することができます。その結果、加齢や紫外線によって生じるシミやシワ、たるみを防ぎ、いつまでも若々しい肌を保つことができるのです。

肌トラブルの改善

NMNを取り込むことによって新陳代謝が改善されると、肌のターンオーバーの周期が整います。これによって、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルの改善が期待できます。

ターンオーバーとは、肌の細胞が一定周期で生まれ変わる仕組みのことです。健康な肌の場合、約4週間かけてターンオーバーが起こり肌が生まれ変わると言われています。

しかし加齢や間違ったスキンケア、紫外線、生活習慣の乱れ、ストレスなどの要因でターンオーバーの周期が乱れると、乾燥や肌荒れ、ニキビといった肌トラブルの原因になります。

NMNが配合されたスキンケア用品を使うことで肌の新陳代謝が促進されると、ターンオーバーの周期が整い肌トラブルの改善が可能です。

「NMN」がもたらす健康効果

NMNの摂取は美容だけでなく、健康や体の老化防止といった側面でも大きな効果が期待できます。本章では、NMNがもたらす健康効果について解説していきます。

代謝・身体機能の改善

一般的に、加齢とともに代謝機能や身体機能は衰えていきます。代謝が低下すると、太りやすく痩せにくい体になってしまうためダイエットも上手くいかない場合が多いです。

人間の細胞内にはミトコンドリアという細胞内小器官が存在しています。ミトコンドリアは「細胞の中の発電所」とも呼ばれており、エネルギーを生産する働きを持っています。

NMNが体内で吸収されるときに生成されるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、ミトコンドリアがエネルギー生産活動をする際に必須となる成分です。NMNを摂取することでミトコンドリアの働きが活性化し、代謝機能の改善が見込めます。その他にも筋力の増強や睡眠の質の向上、集中力の向上などさまざまな効果が報告されています。

疾患の予防

NMNを摂取することで、次のような病気の予防にも役立つと考えられています。

  • 糖尿病
  • アルツハイマー型認知症
  • 骨粗しょう症
  • 心不全、腎不全

これらの効果は、NMNの摂取によってサーチュイン遺伝子が活性化することと関連しています。

「NMN」入り美容液や化粧品は効果があるのか?

NMNの摂取は、サプリメントや点滴などを利用する方法が一般的です。サプリメントは「手に入れやすい」「比較的コストが安い」「続けやすい」といったメリットがあります。

一方点滴の場合は、サプリメントよりも費用は嵩むものの、血液中に直接NMNの成分を取り込むため吸収効率が良いというメリットがあります。NMNの成分が入った美容液や化粧品などを直接肌に塗布する場合は、果たして本当に効果があるのでしょうか?

肌への効果を期待するなら化粧品がおすすめ

「肌のシミやシワ、たるみを改善したい」という目的でNMNを摂取するのであれば、肌に直接塗布する美容液や化粧品がおすすめです。

サプリメントや点滴を利用してNMNを摂取した場合、成分は血液や筋肉といった「人間が生きるために必要な部分」から順番に吸収されていきます。そのため、肌や髪などは吸収の順番として最後のほうに回されてしまうため、せっかく摂取したNMNの成分が十分に行き渡らないことがあるのです。

しかしNMN入りの美容液や化粧品を直接肌へ塗布することによって、肌の細胞にダイレクトに成分を届けられます。

偽物も多いため選ぶ際は注意が必要

NMN入りの美容液や化粧品は多く販売されていますが、中には偽物や粗悪品も混ざっているため選ぶ際には注意が必要です。

日本では2020年に区分が改正され、NMNを「非医薬品」として扱うことができるようになりました。その結果、多くのメーカーがNMNの製品開発や販売に乗り出し始めました。

しかしNMNの原料はキログラムあたり数十万円することもあり、「NMN配合」と謳っていながらも実は純度の低い製品が販売されていることも珍しくありません。NMN入りの化粧品やスキンケア用品を選ぶ際は、次のようなことに気を付けるようにしてください。

  • NMNの配合量
  • NMNの純度
  • 品質検査などをクリアした製品かどうか
  • 他の配合成分(合成着色料、香料など)

上記が注意点なのでしっかり把握しておきましょう。

まとめ

今回は、美容効果のある成分として注目されている「NMN」(ニコチンアミドモノヌクレオチド)について、肌や健康にもたらす効果について解説しました。

さらに、NMN入りの美容液や化粧品は効果があるのか?と、選び方の注意点についてもご紹介しました。

NMNが体内で吸収される際に生成されるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という成分は、「長寿遺伝子」と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる働きを持っています。よってNMNを取り入れることによって代謝や身体機能の改善、肌のアンチエイジングなどの効果が期待できます。

肌のシミやシワ、たるみなどを予防し若々しさを保ちたい場合は、直接塗布するスキンケア用品や化粧品などを使うのがおすすめです。しかし中には偽物や粗悪品も混ざっているため、選ぶ際は成分表示などをよく確認して、注意して選ぶようにしてください。